ボルタンスキー展@国立新美術館

ART2019/7/5

昨日も南麻布の現場帰りに電車で一駅の六本木へ。国立新美術館で開催されている「クリスチャン・ボルタンスキー展」が目当てです。ボルタンスキーの作品は瀬戸内芸術祭や越後妻有トリエンナーレでいくつか見ていてその動向が気になるアーティストとなりました。3年ほど前に庭園美術館でも個展が開催されていてそれもしっかり見に行きました。

50点ほどの作品が展示されていてそのうち1/3ほどの作品は写真撮影可のエリアになっています。難解で渡された作品解説のパンフレットをしっかり読まないとよくわからない作品が多いのですが、展示室が全体的にとても暗くて私も含め皆さん、作品を照らすほのかな電球のあかりを頼りにパンフレットを読み込んでいました。

これは黒く染められた古着を積み上げた「ぼた山」という作品。全部で50作品近くもあるのですが作品の傾向は統一されていて、モノクロのポートレート(死者や作家自身など)、半透明な布地、裸電球とそれをつなぐ長い電線、ネオンサインのようなカラーランプ、古ぼけたビスケット缶、古着(黒く染められたものがほとんど)、金属製のフレーム、ガラス、映像のスクリーン、館内に響くの音(嗚咽、風鈴、クジラの声)、影、、を使って天井高さ10m以上の巨大な空間の大きさを活かしたとても空間を感じる展示となっています。

これは瀬戸内芸術祭の豊島にもあった風鈴の作品。豊島では風鈴の下に名前を書き込める透明なアクリル板がぶら下がっていて確か1万円ほどでその権利が買えるというものでした。

パタゴニアの海岸にしつらえられたクジラを呼ぶ拡声器。

ホロコーストや処刑台、墓など、「死」を意識せざるを得ないような作品がほとんどで館内の温度も低めにされている気がします。お化け屋敷ではないですが夏の暑い時期に来るとよいかもしれないですね。

これは美術館の前庭に展示されていた「ガラスの茶室」。吉岡徳仁氏の作品です。全てガラスでできているのかと思っていましたがそんなわけはなく、よく見るとクロームメッキされた鉄骨造でした。躙り口もちゃんとあるのですがメッキのフレームが気になるとただのショーケースのように見えてしまう。。茶室を昔少し研究していたのですがこれは茶室の形をしているだけで、精神的には全く茶室とは言えないですかね。このような茶室の現代的解釈としての作品は多いですが10年以上前にギャラリー間で見た杉本貴志展の「水の茶室」を超えるものは未だないです。過去の私のブログでもわかるのですがそれを見たときの衝撃が忘れられません。