葉山のアトリエ解説(5)~外部仕上

葉山のアトリエ設計解説2017/8/25

葉山のアトリエでは狭い敷地を目一杯活用するという必要条件に迫られる他にやりたかったことがあります。かなり目立つ立地でもあるので建物の佇まいをどうすべきかということを考え、自分たちがいなくなってもこの建物が例えば50年後に古民家と活用されているといいなと単純に思いました。

外壁は鎌倉や逗子、葉山の古民家や神社などに今も残っていてこれからどんどん無くなっていくであろう押縁付きの下見板張りとしようと考え、昔ながらの厚さ7ミリx幅20センチ以上という板は防火制限上使えなかったのですが三重県の小川耕太郎百合子社が販売している厚さ19ミリ幅145ミリでメンテがほぼ不要となるウッドロングエコを工場塗装した杉下見板を使うことに。押縁のない下見板は何回か使用したことがありますが押縁を付けると一挙に民家風になります。

また外壁の板張りの耐久性を上げるために軒はあったことがよいだろうということで屋根がフラットルーフの全面テラスにもかかわらず軒を屋根周囲に巡らすことにしました。木造3階建ての単純な箱型の建物となるのは避けたかったのでこの軒が外観的にはこの建物を特徴づけていると思います。コスト的にはかなりもったいないといえばもったいないので自邸でなければ真っ先にカットされてしまいそうな要素なのですが。。

外壁に塗ったウッドロングエコは最近特によく使う塗料ですが安くてメンテナンス不要、塗った途端に木が枯れた色へと変化します。屋根はいつも使うガルバリウム鋼板ではなくより耐候性の高いアルスター鋼板の素地仕上げとしました。木材はなるべく国産材にこだわったのですが、軒裏は無塗装で使用可能な米松材(ピーラー)としています。開口部の建具は大きな引違窓は建具屋さんによる木製建具(ピーラー枠)、小窓がアルミサッシ(シルバー)で2枚のみはデザイン性の高い木製サッシメーカーのすべり出し窓を使っています。

ウッドデッキやバルコニーの手摺は南洋材のイペ材を無塗装で使っています。国産材で栗や桧、もしくはメンテナンス不要な木樹脂混合材という選択肢もあるのですが今までの経験上、堅木であるイペが最良だという判断です。無塗装で使っているのですでに新築当初の茶色い色は薄れてどんどんグレー色に近づいています。外壁材についても日の当たる面から色が段々と白っぽくなってきているのであと1年もすれば本当の古民家のようなグレー1色となっているかもしれないですね。