土地探しのコツとは

仕事2024/2/22

建築相談に来られる方の中でも土地探しから含めて相談に来られる方の割合は結構多いです(大体半分くらい)。すぐに土地が決まる方の方が珍しいくらいで土地探しには1年~数年かかることも普通で、購入検討中の土地を見せてもらってこの土地にならどんなものが建てられそうかなどの土地購入前のアドバイスもさせて頂いています。私はなぜか宅建の資格も持っているので不動産のある程度基本的なこともわかりますが、建築を建てる側からみた土地探しのちょっとしたコツみたいなものが何かあるでしょうか。。

・’ピン’とくる土地
最寄り駅からの距離や土地の面積、形状などで消去法的に絞りこんだ特に問題ないという土地はやはり人気もあり価格も高くなる傾向があります。減点主義的に土地を絞るより例えば、眺めが良い、緑に面している、日当たりがすごく良い、好きな店が近くにある、、などなどすごく気に入った、”何かピンときた”という点があれば、その直感を優先して土地を選ぶことも悪くないと思います。そのお気に入りの条件を活かすような設計をすることで他の不利な条件もそれほど気にならなくてすむと思いますし、敷地環境に応じた個性的な建物がつくりやすいです。

・周辺は大事
土地の周囲がどのような状況かはなるべく気にしたいです。周囲をぐるっと隣家が近接して取り囲むような土地よりは、2面道路や、公園や緑地、川などの空地に面している土地の方があまり廻りを気にせず暮らせる家をつくりやすいです。但しまれに隣が田畑など広くてオープンな土地だったとしても将来的に土地が造成、細分化されて家とかマンションが建つ可能性もあるので注意です。都市計画、道路状況を見れば我々専門家ならある程度の将来の予想も可能です。

・どんな道路か
前面道路の幅員がどれくらいかによって道路の性格も変わってきます。基本的に道路幅は最低4m必要ですが(足りない場合は新築時にセットバックが必要)4mしかない場合は自動車の対面すれちがいも少し難しく、駐車スペースを駐車しやすくする配慮も必要です。6mくらいあると車は通行しやすい分、交通量も多くなります。小さな子供がいる家庭などは狭くてほとんど車が通らないような道路の方が安全だと思いますが、お店などを集客が必要な場合はそれなりに車、歩行者とも通行量のある道路の方がよいですね。また道路が抜け道や、渋滞ポイントになっていないかも知らない土地の場合は一応チェックした方が良いですね。

・北側道路、南側道路
道路がどちらの方位にあるかによって建物の表情が結構変わります。北道路の場合は道路に面してあまり窓を設けなくてよいので割と閉鎖的なカチッとしたシンプルな表情の家をつくりやすいですが、逆に南側道路の場合は道路に向かって大きな窓を設けたいので開放的なイメージの家となりやすいです。南道路の場合は窓がよく目立つ分ちょっと良いサッシ(木製サッシ等)を使うとか、プライバシーを守るために庭のシンボルツリーで目隠ししようかなどを検討したくなりますね。

・1階リビングor2階リビング
2階建ての住宅の場合、LDKが1階にあるか2階にあるかは私の設計したものだと大体半々くらいの割合です。2階リビングの利点はLDKの日当たりや眺望を取り入れやすく、勾配天井にして天井を高くしやすいですが、買い物の重い荷物を2階にもって上がらないといけない、配達の受け取りなどでいちいち階段を下りないといけない、寝室が1階となるので寝るときの防犯が不安、、などがデメリットですね。庭いじりが好きな方や家庭菜園を作りたい人は1階LDKとしてウッドデッキを設けたいという人が多いです。それぞれに適した土地というのがありますのでLDKをどちらにしたいかも土地探しと同時にぜひお考え下さい。

・電線はどこに
道路に電線と電柱は必ずあるものですが、道路の反対側にある土地は幸運です。建物が完成して外観の写真を撮るときに電線ほど邪魔なものはないです(プロの写真家は簡単に電線を消してくれます)。2階からの眺めが良い場合でもちょうど目線くらいの高さに電線や電柱があって目障りという場合も。ちなみに敷地前の電柱を移動することは有償ですが可能、敷地内に電柱が立っている場合は無償で移動してもらうことができます(限度有り)。それとカラスとか鳩とか多い地域の場合は電線にとまった鳥の糞にも少しご注意。電線がない高級住宅地というのもたまにありますがそれだけで日本ではない感じがします。また奥まった道路に面して多くの敷地が最低限の接道巾で数多く面しているような住宅地の場合、電線が集中して見苦しくなっているようなケースも見かけます。

・旗竿地はどうか
道路との接道巾が取りにくい土地を細分化して売っているような分譲地の場合、敷地が道路といわゆる敷地延長の通路部分でつながった旗竿敷地が多く生まれます。旗竿地は通路幅2mあれば法的にOKですが駐車スペースとするには最低2.5mは確保することが多く3mあれば車を停めてもかなり余裕があります。奥まって閉鎖的な感じがするのであまり人気のない旗竿地ですが、たまに良い条件と思える敷地もあります。この敷地延長部分には基本的に建物が建つことはないので、うまい具合にお隣の敷地の敷地延長部分に敷地が面するような場合はその面からの恒久的な採光が期待できます。

・3階建てが可能か
用途地域によって3階建てが可能かどうかは周辺の状況を見ればすぐにわかります。いわゆる住宅地で一番多いであろう「第一種低層住宅専用地域」は基本的にその名の通りほぼ2階建しか建てられない地域で、敷地の北側の日照を阻害することに制約を受けますが、北側が道路だったりするような場合はまれに3階建て可能な場合もあります。その他建物の高さ制限(斜線制限)に関しても「天空率」制度を上手く使えば屋根をいびつな形にカットする必要も回避可能ですのでその辺はわれわれ専門家の腕次第です。

・予算配分
不動産屋さんで土地を買った後に建築の相談に来られる多くの場合で、高めの土地を購入して建物にかけられる予算に余裕がないということはよくあります。不動産屋さんは少しでも高い土地を買ってくれた方がありがたく、我々建築家はなるべく建物にかけられる予算を残しておいて欲しい、とどうしても対立関係が生まれてしまいます。ローコスト条件での設計も苦手ではないですが、あまりに余裕がない場合は建築家で家を建てることをあきらめざるを得ない場合も。というわけで建築家と家を建てる場合はなるべく土地を買う前に相談に来てくれた方がよいかと思います。

・必要な敷地面積
予算に限りがあって土地の坪単価も安くない地域の場合は必要以上に広い敷地を選ばないことをお勧めします。建物を建てるのに必要な面積だけ土地を切り売りしてくれるということはないので、余裕をみて少し広めの土地を選びがちとなってしまいますが、逆に少し小さ目の土地を選んだ方が、設計の力によって敷地面積を無駄なく最大に活かしきったプランを生み出すこともできます。また建てられる建物の面積に上限があることで要望も整理されて建設費も抑えられやすいです。

 

などなど、、また他にも思いついたら追加します。当アトリエでは土地探し中の建物のラフプラン提供なども行っていますのでお気軽に相談してください。