「ギャラリーをもつ家」見学会

建物2018/4/23

横浜の建築家グループ「area045」の仲間たちと林雅子氏設計「ギャラリーをもつ家」の見学に国立にまで行ってきました。築35年にもなるこの家は、area045メンバーに昨年入会した建築家の諸角敬さんが林雅子事務所のスタッフ時代の最後に担当した家です。
建築史家の村松伸さんとその奥様の一橋大学商学部教授の山下裕子さんへと所有者が変わって以来現在も続けられている改修の設計担当者である長尾亜子さんと面識のある建築家メンバーがarea045にもいたことで、新築当時の設計担当者、改修設計担当者、現所有者かつ住人の3者の座談会も行おうとして企画された見学会でした。その所有者が変わった経緯とその後の住人としての奮闘については村松伸氏の著書「象を飼う 中古住宅で暮らす法」にも詳しく著されています。奥様によるその著書の続編も現在企画されているそうです。


まずはこの外観。林雅子さんといえば日本の女性建築家の先駆者、住宅の建築家として住みやすい家を設計する方かとずっと思っていましたがそれは誤解だったようで、このような雄々しい外観です。両端の個室のコアを大きな梁でつなぎ、中間部は奥行きが浅く透明で視線が貫通するという点で、林雅子さんの御主人である林昌二さん設計の五反田ポーラビルを連想させるような空間構成。

崖に面する地上2階建て地下1階建てで各階とも両端に個室とサービススペースをもち、中央のスペースは地階がギャラリー(現在ライブラリー)と地階と吹き抜けでつながった1階が玄関ホール、2階がLDとなっています。

建物自体も大きい上に、室内のあらゆるところに大胆な納め方や空間の明暗、暑さ寒さの極端なメリハリがあり見どころが多すぎる家だったため一通り見学するにも長い時間が必要でした。

南側にガラス屋根のサンルーム北側にトップライトをもつ2階LD。

新築当時では南側は森のようだったのが宅地開発されて樹々が伐られてしまったそうで、子供部屋の前だけは大木がまだ残っています。

最後に村松さんが進行役となって頂いての座談会。この大きな家がどのように生まれたか、中古住宅として買ったきっかけ、維持していくための膨大な苦労などについて非常に深いお話を聞くことができました。村松さん山下さん御夫妻、改修設計者で御夫妻との間をつないでくれた長尾亜子さん、当時の設計担当者の諸角さん、ありがとうございました。