ある町医者の記念館

建物2022/4/12

北薩地方を巡るドライブの目的地。建築家、堀部安嗣氏の処女作の「ある町医者の記念館」に。

さつま町の求名(ぐみょう)というとてものどかな地域にあります。

鉄筋コンクリート造の明快な構成。地元で活躍された医師・前原則知先生の遺品を展示する小さな施設ですが、昔先生が住んでいた場所なのでしょうか、、広い前庭と古びた石積みの塀が良い感じです。


円弧を描くスチールの小庇の下の玄関ドアの奥に再び現れる円弧の壁。自然に奥へと導かれます。

白くて丸い空間に光のグラデ―ション。

お隣の同じく堀部安嗣氏設計の「南の家」も見学させて頂けました。前原医師の御子息の別荘として使用されているようです。

緩い勾配の切妻屋根は軒を大きく張り出し、軒先の破風の厚みもとても薄く繊細に抑えられています。

横格子のある地窓は和室の窓。地窓とすることで黒い板壁と軒のラインの美しさが強調されていますね。


図面で見た限りでは天井高さが異常にすごく低く抑えられていると思っていたのですが(天井高さ2.19m)、実際に入ってみると意外とそんなに低く感じないです。家具や建具もよるのでしょうが。。正面の収納壁の高さが1.71mで冷蔵庫がぎりぎり隠れる感じの高さでした。しかし改めて写真を見ると天井の照明も異常に少ないですね。和風のように見えて実は非常にモダンな建築だと感じました。