現在の建設コスト高騰

仕事2024/7/18

建築家の仲間や工務店の誰に聞いても今はみな私同様に建設コストの高騰に悩まされているようです。特に新コロナ以降の値上がりが激しくて、5年ほど前に比べて同じような仕様の木造住宅でも坪単価は3~5割ほど上がっているのではないかと思われます。10年ほど前は木造住宅で坪単価70万以下とかの計画も普通にできていたのですが、最近は坪100万を切ることも段々難しくなってきました。確かにこの10年くらいの間にサッシを中心として建材自体の性能はメーカーの努力によりかなり上がってきてはいますが。。

新コロナがその発端となってその他色々な理由がからみあってこのような状況になってしまっているのですが、こんなに高くなってしまった建設費が果たして元に戻るのかというと、多分下がることはない、というのが大体のみなさんの悲観的な意見。但し新コロナの初期にあったウッドショックによる木材価格の高騰というのだけはすでにおさまりつつあるようで、木材の単価は現在毎月のように下がっていて我々に関連の深い木造の材木屋さんやプレカット業者はかなり仕事が不足してきているそうです。

また土地の価格についても、私が住む葉山や逗子、鎌倉あたりの地価はコロナ前に比べて5割ほど上がっている気がします。特に新コロナの全盛期にリモートワーク推奨で移住希望される方が殺到して売り土地がほぼ無くなってしまうということがありました。土地の単価が上がったことで今まで空き家が建っていて使われていなかったような土地が、”今が売り時”とばかりに更地にされどんどん売られていて葉山でもあちらこちらで住宅の新築工事が今でもずっと続いているような状況です。但しこちらも建設費高騰のせいか結構よい土地であっても以前のようなデザインを重視した家というよりは、少々安っぽい家が増えているようなのが残念なのですが。。
土地に関しては今は少し供給過剰になりつつあるのかなとも思います。リモートワークができなくなった会社もあるということなので再び都心回帰する人が増えて、今後少しは値下がりするような気がします。

今思い返せば15年ほど前の建築家住宅ブームのころは建設費も安かったと思います。一般的な会社員の方でも普通に建築家に依頼して一軒家を建てることができていました。今では大手のハウスメーカーでも我々建築家以上に坪単価が上がっているようでなかなか普通の人が普通に一軒家を建てられるという状況が失われつつあるようです。その一方ですごく儲かっている人たちというのもいるようで、そういう方たちの豪邸建築に特化した建設会社や建築家もちらほら見かけます。建築業界全体の人手不足ということもあって、例えば投機的な事業のための建築とか、華美な公共建築とか、今の大阪万博とか、、ではなくて住むため、生きるための建築に人手や資金が回るような状態になって欲しいものです。

こういった状況の中で極力ローコストに家を建てる方法というのもまた別の機会に投稿してみようと思います。