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建物2008/7/9

午前中はずっと鎌倉の現場。今日は車でそのままスタッフと建築見学へと繰り出します。
月に一度くらいは建築を見に行こうと計画だけしていて、なかなか行けなかった2つの建築を
見てきました。
まずは厚木の神奈川工科大学内のKAIT工房へ。


いろんな分野の工作教室のようなワンルーム空間。
間仕切りも何もありませんが、4種類ほどの違う断面形状のフラットバーの柱がランダム風に
林立してます。恐らく厚い断面の柱(60×90・45×120)で屋根荷重を受け、微妙に角度を
変えて添えられた薄い柱が耐力壁代りに地震の水平力を負担しているように思われます。
一番薄い柱は15×150。ここまで薄いと天井からぶら下がっているようにしか見えません。
数本の柱のセットが微妙に位置をずらしながら配置されてゆるやかにスペースを作り出してます。
一見ランダムなようでいて、構造的な制約のせいかゆるやかな規則性を感じさせてくれるのが
逆にスマートに感じられます。天窓からの自然光とあいまって本当に森の中にいるような
感覚を感じさせてくれる心地よい空間でした。
写真で見る限り柱が邪魔かと思いましたが、実際はそうでもありませんでした。
その後、さらに評判の良い多摩美術大学図書館へ。
tamabi.jpg

アーチを描く列柱が平面的にも円弧を描きながら交差して空間をつくっています。
KAIT工房は影のないフラットな空間でしたが、こちらはアーチによる光と影の重なりを
感じさせる空間です。2階建ての1階部分は床面1/20勾配のスロープ。周囲の地形に
沿って決めたようです。家具をどう置くかについては相当苦労が感じられますが、
スロープによって否応なしに体感させられる重力が目には見えない方向性を感じ
させます。仕上げのレベルも高く、家具什器のデザインや設備計画もばっちり決まって
いてほぼ完璧。空間的にも十二分にゆとりがあって、緑に囲まれた環境。
ここを毎日使える学生はうらやましいです。
今日見た2つの建築はどちらも共通点が多くて、
透明かつソリッドな外郭の内に(外気はシャットアウト)、構造体によってゆるやかに
仕切られた割とそっけない空間を設けて、家具や設備は必要に応じてスポット的に点在。
(表と裏の区分けはあまり意識しない)
今の日本の現代建築はこれなんだと、十分感じさせてくれる建築でとても
勉強になりました。やっぱり建築はどんどん見に行くべきですね。

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