葉山のアトリエ解説(3)~各階テラス

葉山のアトリエ設計解説2017/8/24

葉山のアトリエの敷地は78m2しかありません。土地を購入した際には敷地面積約70m2(要確定測量)ということで確定測量したところ実は66m2しかありませんでした。でも川と敷地との間のの青地(国有地)部分を購入できそういうことがわかっていたので、非常に面倒くさい国有地払い下げ手続きを経て敷地面積を何とか78m2に拡げることができました。払下げの手続きには測量他の費用と時間が結構かかりましたが、国有地の払い下げ価格は相場より格安で購入できるのでトータルでも結構お得です。

土地の建蔽率は50%、容積率は100%の第1種低層住居専用地域(ほぼ2階建てしか建たないような住宅地)でしたが、道路の反対側が川に面しているということで角地と同等扱いの建蔽率60%とできることは早々に行政に確認済み。さらに北側道路でその方角もほぼ真北なので、北側斜線制限さえクリアしていれば日影規制もクリアできるだろうという経験則からすぐに3階建てが建設可能という、わかる人だけわかる良い土地みたいだということがわかっていました。

普通なら建蔽率を目いっぱい使っての総2階建てとなるはずの土地ですが、駐車スペースを2台確保したかったので1階は少し駐車場部分の容積率緩和を適用してほぼ総3階建てとしました。3階建てにするとどうしてもワンフロアあたりの床面積が小さくなりますが、その代わりこの家のように床面積に算入されないテラスを設ける余裕が出てきます。このような柱で支えているバルコニーは建蔽率には算入されますが延べ面積は奥行き2mまでは算入されません。その利点を活かしてこの家では各階に少しずつ形状や用途の異なるテラスを設けようということを考えました。

1階のテラスはほぼ敷地境界ぎりぎりまでウッドデッキを跳ねだしています。手摺らしい手摺は設けないでベンチにもテーブルにもなる低いカウンターをコの字に設けましたが、川との間に植栽帯もあるので特に怖いと感じることはないです。奥行きは約2.3m。半分だけ屋根(上階バルコニー)に覆われたセミオープンなデッキテラスです。1階のアトリエの土間とはフルオープンできる引込戸にて仕切っています。一応網戸も付けましたが、思ったほど虫に困るということも無くて網戸の使用頻度は少なめです。下の川に鳥(カルガモ、サギ、カワセミなど)がやってくるのでそれらを眺めつつこの場所を楽しんでます。それと海から帰ったときなどはここで足の砂をシャワーで落としてます。

これは2階のバルコニー。跳ね出しバルコニーだと奥行きがせいぜい1.35mほどが限界ですが、柱で支えているため奥行きは1.5m確保できてます。これだけ奥行きがあればこのようにカウンターを設けることができて、お茶や読書でもするのにちょうど良いスペースをつくれます。2階LDとなるので庭代わりにここには植木鉢を沢山置いて緑を楽しむスペースともなっています。ここは一応先端まで屋根(上階テラス)がかかっているので日除けのあるテラスとして日差しの強い日でも使いやすいです。

これは3階バルコニー。周囲の家はほぼ2階建てなので3階まで上がれば一挙に開放感が増します。3階は洗濯機置き場があるのでここは物干用のテラスとなります。手摺壁に物干ロープを張って洗濯物は干していますが、ここも奥行きは1.5mあるので洗濯物を干していても邪魔にならず使えます。

そして屋上テラス。土地が狭くて庭が取れないだろうということで屋上は庭代わりの全面テラスとすることは最初から決めていましたが、四方が山に囲まれていてなかなかの景色です。椅子に座れば手摺壁にて周囲の家の屋根も隠れてほぼ山しか見えなくなります。日除けのタープを張れるようにしていますが夏は暑すぎて日が沈んだ頃かからしか上がらないです。夜に風呂上りでベンチに寝っ転がって涼みながら星を眺めるのはとても気持ちよい時間です。ちなみにこの屋上へ上がるペントハウスを設けるのは高さ制限的にも無理だったのでは3階バルコニーから外階段にて上がれるようになっています。