葉山のアトリエ解説(4)~キッチンについて

葉山のアトリエ設計解説2017/8/25

葉山のアトリエは2階がLDK。コンパクトなワンルーム空間に無駄なく必要な家具のスペースと作業空間、収納を詰め込んでいます。キッチンはシステムキッチンではなく造作家具により作っているので全てがオリジナルな仕様です。

カウンターはステンレスバイブレーション仕上、面材はタモ突板に桐油(自主施工)を塗りました。長さ2.7mのキッチンに今までは使っていなかった食洗器と電気オーブンも入れています。都市ガスの来ていない土地なのでコンロはIHです。キッチンは一応対面キッチンですがスペース効率的にダイニングに背を向けて作業するスタイルです。

こだわったのが一番使いやすい高さのアイレベルの部分の収納でなるべく大きく収納を確保しています。その引違戸の内部は水切棚としているので洗ったグラスなどはそのまま載せられる昔ながらのキッチンの使い方ができ、カウンター下には間接照明も仕込みました。レンジフードはフードを前に引き出すと換気し始めるタイプで機能は今どきの換気扇に比べチープなのですが、使っていない時に邪魔にならないのとかなり安いのでよく使っている機種です。キッチンの壁部分は長方形の磁器タイルを目地無しで馬目地(目地が半枚分ずれる張り方)で仕上げていますが目地がないので白いタイルでも目地汚れを気にすることがなくて済みます。またコンロ前にはフライパン等ぶら下げるためのハンガーパイプも設置してます。

以前に自分でリノベーションして使っていたキッチン(20・08)ではデザイン優先で吊戸棚部分をそのままの奥行き(35センチ)で目線下まで下げた観音開きとしていましたが、今回は使いやすさの改良を加えてアイレベルの収納は奥行きを浅くして薄い合板による引違い戸としています。その上部の収納はあまり使わないのと頭上でほとんど邪魔にならないので観音開きとしてます。

キッチン部分は天井高さを稼ぐために梁を表す仕様としていますが(ダイニング部分は天井高さ2mしかない)、梁の向きは収納量が取りやすい方向へと変えています。観音開きの扉もぎりぎりフルオープンできます。

対面カウンター部分は高さ1.1mの腰壁を30ミリの杉のパネル材で仕上げて大皿とゴミ箱が収納できるように奥行き40センチ(有効内法は約30センチ)で仕上げています。ゴミ箱置き場以外の収納部分は邪魔にならない引違戸としました。キッチンの通路部分は標準的に85センチくらいあるのが普通なのですがここでは約77センチとしていてキッチンスペース自体が幅1間(1.82m)で納まっています。

経験的にこの通路幅は70センチでも一人で作業する分には問題ないのですが(逆に狭くて使いやすい?)、引き出しを引いたときのスペースと冷蔵庫の搬入には要注意です。一般的な家庭と違って電子レンジやトースターは持ってなくて(電気オーブンとグリルで代用)、炊飯器もなくご飯は鉄釜で炊いているのでカウンター上の置物はかなり少ないと思います。ちなみに対面カウンターの天板はチーク集成材+桐油塗です。

それと水栓は浄水器兼用できてまともなデザインのものを探してクリンスイ+グローエのものとしました。食洗器は引き出し式ではなくてミーレやアスコ(高いです)のような開き式のものがよかったので、他の建て主さんに教えてもらったリンナイの食洗器を使っています。今のところ食洗器が果たして必要だったかどうかはまだ確かめ中です。