葉山のアトリエ解説(2)~浴室、バスコート廻り

葉山のアトリエ設計解説2017/8/24

葉山のアトリエは1階が土間のアトリエ、2階はLDK、3階が寝室と水廻り。浴室はハーフユニットバスとして壁と天井は能登ヒバ板張としました。板張りとする上でカビが生えないようにするための換気が重要。開けっ放しにできるできるだけ大きな窓を設けるためにバスコートを設け、そちらに向かっての大きな窓を設けました。

能登ヒバの塗装は超・撥水塗を自分で塗りましたが効果的です。浴室の中でも濡れやすい部分は結構限られていてシャワー廻りの壁は水はねが多くて濡れやすいですが、浴槽側や天井はほとんど濡れないのでシャワー廻りを多めに撥水塗装してあげるとよいかと思います。それとこのハーフユニットバスはTOTOの製品で他に選択肢がほとんどないのですが数年前から水栓部分のシャンプーなどを置け台の部分がなくなってしまったので、今回は試みとして水栓側を全面窓にして窓台部分にシャンプーなどを置ける工夫をしてみました。窓台の部分は納まり上このように分厚くなってしまうのですが、磨きのステンレス板を折り曲げて厳重に水仕舞を考慮してあります。ステンレス板をへアライン仕上げでなく磨きのままとしたのはバスコートを見上げれば空が見えるので、ステンレス板にその空が映り込むのではないかと画策したのですがそこまでの効果はなかったようです。

水栓側を窓とすることでシャワーヘッドのスライドバーが側面の壁にしか取り付けられないのが使いにくくなる懸念があったのですが意外とそれは全然大丈夫でした。余談ですが今回外壁断熱材を施工するついでにハーフユニットバスの浴槽裏面に断熱材をたっぷり吹き付けてもらったのですが、その断熱性のおかげかお湯が一晩保温無しでも入れるくらいの効果がありました。

バスコートを設けたのは浴室のプライバシーを確保しながらかつ大きな窓を設けるためですがこのバスコートには屋根を設けていません。お風呂に入りながら空も見えるのではないかという意図もありますが、建築可能な建物の延べ面積がかなり限られていたのでこの部分には屋根をかけず、当然床面積にも算入されません。お風呂の窓なので雨天時に軒が無くてもあけっぱなしていても平気なので梅雨の時期など便利です。

それとこの建物は3階建てなので3階部分に消防隊の非常用進入口となる開口部を設けることが求められますがこのバスコートの開口部がその役目を果たしています。北道路の敷地なので道路面のファサード(立面)は閉鎖的で端正な表情を作りやすいのですが、この開口部を2階LDの開口部と揃え縦枠で見切って表情をつくりました。

実はその開口部の大きさが直径1m以上の円が入る大きさ(もしくは幅0.75mx高1.2mの長方形以上)が必要なのですが少し足りていません。バルコニーとしての手摺の高さは床から1.1m以上確保しないといけませんが(3階建て以上)、この建物は軒も低く揃えてあるので軒も削りたくありません。ということで地元消防署と協議の上で、手摺代わりとなっている花台部分の板は消防隊進入時に簡単に取り外せる構造とするということで許可を頂いてます。

また浴室とはバスコートを挟んでトイレが対峙しているのですが、このバスコートへアクセスするための(植物の水やりなど)専用のドアをトイレ内に設けてあるので狭いトイレに2枚ドアがあるという変わった状況になっています。出来てみてから思うのは浴室からでも窓をまたいで十分アクセスできるのでこのドアは無くても良かったかもしれません。。