モダンな中に味わいのある素材感を持つ家「本鵠沼の家」

本鵠沼の家設計解説2021/11/9

2019年に完成した『本鵠沼の家』は若い御夫婦と子供二人のための家で、御主人の実家の広い敷地の離れが建っていた部分を取り壊して建て替えた家です。前面道路からは母屋や姉家族の家の前を通りすぎる20~30m近い長いアプローチの先に建っていて、既存の母屋や倉庫、祠などに囲まれた立地。

車のアプローチと既存の建物を邪魔しないように2階建ての建物は南向きに開きつつ一部雁行した建物として計画しました。外壁はモルタルの上にごつごつしたジョリパット仕上。外壁のコーナーは丸く面取りして少しやわらかい印象としています。

奥まった敷地なのでプライバシーに確保された南庭に向かってオープンな構成、1階リビングには広いデッキスペースを設けました。1階南側の窓だけは目立つ部分なので木製建具で製作しました。大谷石の間に植えたシンボルツリーはエゴノキ。


1階にLDKと畳コーナー、2階に3寝室+ロフトという構成。

南入りの玄関は奥に長く、長い下足入れ、玄関内外にベンチを設えました。

LDKで要望されたのはフラット対面カウンター式のキッチンと子供が遊ぶための畳コーナー、そして吹き抜けに鉄骨階段。

正面の奥まったスペースは当初デスクスペースでしたが、アップライトピアノを頂けるということになりピアノスペースへと変更。

日当たりの良い窓際の居間スペースは床をタイル張りとして日射のダイレクトゲインも期待したものです。LDにはガス温水式の床暖房を設置。

キッチンは造作家具で作ったキッチン。ナラ柾合板で仕上げています。壁には一部サブウェイタイル+オープン棚。

内装はほぼ全てグレー色のポーターズペイント塗。トイレとか一部はアクセントカラーも使用しています。

鉄骨階段で上がった2階ホールからさらに箱階段でロフトへと上がれます。室内建具にも一部アンティークガラスを使ったり、個性的なタイルを使ったり、モダンな空間の中に少しだけレトロな雰囲気が入っています。

2階の浴室はハーフユニットバスに壁を大判タイル、天井は桧で仕上げています。目地が少なくできる大判タイルとすることでカビ掃除の手間がほぼかかりません。

広めの洗面脱衣室は直接バルコニーに出れるレイアウト。タオルや着替えなどのためのたっぷりの収納とガス乾燥機も設置しています。床はひんやりせず、水にも強いコルクタイル張。

壁を白くしたりしないでグレーをベース色として木や鉄、タイルの素材感を上手く使った表情豊かな家となりました。